ドクター岡田の健康談話室:コロナ禍における現在の問題点と今後の見通しについて

コロナ禍における現在の問題点と今後の見通しについて

日本血管内治療学会 名誉理事長 岡田 昌義

現在、東京や大阪を中心に緊急事態宣言が発令されている。今や、医療現場では懸命の治療が続いている。マスク着用や外出自粛、三密(密閉空間、密集場所、密接場面)と、とくに他人との距離(2m)をとることが、新しい日常となってきた。また、会議や食堂などでも、アクリル板を立てて、人との距離を離しても感染は収まっていない。

本日(5月8日)の新聞によると、日本では感染者数 628,875 人(死亡者10,773人、死亡率1.7%)となっている。また、全国で上位6位までの感染患者数を見ると、第1位の東京では感染者144,441人(死亡者1,909、死亡率1.3%)、第2位の大阪では、感染者87,715人(死亡者1,655人、死亡率1.9%)、第3位の神奈川県では、感染者55,093人(死亡者831人、死亡率1.5%)、第4位の埼玉県では感染者39,304人(死亡者748人、死亡率1.9%)、第5位の愛知県では、感染者35,704人(死亡者646人、死亡率1.8%)、第6位の兵庫県では、感染者34,361人(死亡者764人、死亡率2.2%)となっている。また、死亡率は、1.5~2.2%であり、あまりこれらの間に有意の変化はみられないのである。

さて、この新型コロナウイルスに感染すると、37.5℃以上の発熱が持続し、咳や痰が出て、嗅覚や味覚に変調をきたすものである。このような種々の症状がみられ、この後のPCR検査をすれば、陽性と診断されるものである。ところで、今コロナ禍において、有効なワクチンが普及している。すべてが、外国製であるが94%以上に効果がみられている。1バイヤルには、ワクチンの原液が0.45ml入っており、これは-70℃に保存され冷凍されているものであり、これを通常室温に置けば30分以内に常温で液状になり、これを生理的食塩水1.8mlで溶解して、一人0.3mlを肩の筋肉内に注射するのである。1バイヤルに、6人分の注射ができるようになっていえる。

このワクチンを私も受けたのであるが、注射した日には、筋肉痛はなかったのであるが、2~3日目には少し痛みが持続したのである。この痛みに対して鎮痛剤を服用することはなかった。この日から3週間後に2回目の注射を行ったが、やはり注射した部位に痛みがあったが、全身倦怠感が2日にわたり見られた。

日本でも今やワクチンの注射が医療従事者や高齢者から順に行われているが、今年の9月末頃には一般市民も2回目のワクチン注射が行われるようである。この2回目のワクチン注射が行われ、その後にはマスクを着用しなくても良いほどに世の中がかなり緩やかになるものと思う次第である。

ところで、最近の厚生労働省からの報告によると、第1回目と第2回目のワクチンの注射を行った副作用を見ると、37.5℃以上の発熱が、1回目/2回目、で比較すると、3.3%/35.6%, 38℃以上の発熱は、0.9%/19.1%, 接触部の反応、92.9%/93%, 発赤13.9%/16.0%, 腫脹12.5%/16.9%, 硬結10.6%/9.9%、熱感 12.8%/16.6%、痒み7.9%/10.4%、倦怠感23.2%/67.3%、頭痛21.2%/49%、などとなっている。このように何らかの副作用が確認されているが、これらは注射後2~3日間見られており、それ以降は特に問題はないのである。

今やニュ-ヨークでは、2回目のワクチン注射をした人は、町中を自由にマスクをせずに闊歩しているのを聞いているのである。このようになるためには、やはり全国民が接種を行ってから得られる光景であろうと考えられているのである。今のところ、全国民にワクチン接種が行き渡り、抗体が十分に出来上がった際にはじめて自由になれるものと思う次第である。このようになれば、また各国が国から国へ自由に出入りできるものと確信できる。

ところで最近、英国やブラジルなどからの変異株である、N501Y, E484Kが導入されており、これらはかなり抵抗性があるとされている。これらの変異株は、人の動きと関係があり、ドイツ、フランス、英国などでは、折を見てロックダウンをしているのである。この事実は、日本でも同様の動きがあるものと思われるのである。ちょっと、基準を緩めるとそこへ人があふれてゆき、いわゆるクラスターが発生しているのである。やはり、日本でも連休が続いた時も、不要不急の外出自粛を守るように言われても外は快晴であり、出たくもなるのである。このように気分を抑えて家に閉じこもっていることは本当に耐え難いものである。フランスやオーストラリアなどでは、このような制約のある時には、外出すれば可なりの罰金が科せられたのである。このようなことをしない限り、人の動向を制御できないのである。今はコロナ禍の間最中であり、このままではどんどん感染者が増加傾向になっていくのである。

また、2021年は1年遅れの東京でのオリンピック・パラリンピックの開催が予定されているが、このような時期にバッハIOC会長は、5月17・18日に日本に来る予定であったが、橋本聖子JOC会長が、今は日本に来るべきではないと言っているようである。非観客下においても、何とかして開催したいものと考えているのであろう。とにかく、早く以前のごとく世界各国に自由に行けるようになりたいものである。そのためには、自由行動はせずに日本全体を見て行動しなければならないものと思う。それには、全国民が3密をさけて、マスク着用、手指の消毒、人の触ったドアノブなどの頻回な消毒、食事は離れて行うなどして過ごすのが、やはり原点ではなかろうかと思う次第である。