ペースメーカー関連Q&A

「日頃の悩みや疑問にわかりやすく答えるQ&A 50周年版」記念誌から
気になるQ&Aをご紹介

友の会創立50周年を迎えて発行された、777個のQ&Aをまとめた冊子「日頃の悩みや疑問にわかりやすく答えるQ&A 50周年版」から、気になるQ&Aをピックアップして公開します。
会員専用ページでは冊子を丸ごと公開しています。ぜひごご覧ください。

なお、777個の目次は下記から確認できます。

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本ページに掲載している回答は掲載時の情報です。最新の情報は各メーカーのウェブサイトをご参照ください。

乗り物の影響
電気自動車、ハイブリッドカーは乗っていいですか。

運転、乗車自体は問題ありません。(日産のホームページ:電気自動車の車室内外での影響はありません。電磁波レベルは極めて小さく、一般車やハイブリッド車と同等です。公共交通機関である在来線電車、新幹線、飛行機と比べても、同等以下の電磁波レベルであり、心臓ペースメーカーに与える影響は低いです。)

電動自転車はペースメーカーに影響ないでしょうか。

電動(アシスト)自転車の取扱説明書には何も書かれていなかったり、「影響については医師と相談してください」と書かれていたりします。バッテリーやモーター部分に体を近づけなければ大丈夫です。ペースメーカーの会社のパンフレットに、一般的に影響の少ないものの例として「電車、自家用車、電動式自転車」と書かれているものもあります。ただし、「ペースメーカー装着者は使用禁止」と明記されている機種には乗らない方が無難です。

電気自動車の急速充電器はペースメーカーに影響を与える、ということですが。

電気自動車(プラグインハイブリッド車を含む)の充電器から発振される電磁波が、ペースメーカーに一時的な影響を及ぼす可能性があります。影響の出やすい条件で試験した結果、急速充電器で53cm、普通充電器で12.5cmで影響が出たペースメーカーがあったという報告があります。

電気自動車の急速充電器についての注意事項を教えてください。

急速充電器には近づかない(1m以上離れる)、普通充電器は充電中は充電スタンドや充電ケーブルに密着するような姿勢はとらないことが必要です。不整脈デバイス工業会では次のように言っています。

  • 電気自動車の急速充電器は使用しないでください。
  • 急速充電器を設置している場所には、可能な限り近づかないでください。なお不用意に近づいた場合には、立ち止まらず速やかに離れてください。
  • 電気自動車の普通充電器を使用する場合、充電中は充電スタンドや充電ケーブルに密着するような姿勢はとらないでください。
火葬
火葬場でペースメーカーは爆発するのですか。

火薬は急激な化学反応で爆発しますが、ペースメーカーの場合は中の気体の圧力で容器が風船のように壊れますので、爆発ではなく、破裂、ということになります。

ペースメーカー装着者が死亡して火葬にするとペースメーカーが破裂すると言われておりますが本当でしょうか。

現在のペースメーカーは、全部リチウム電池が使用されています。リチウムは1300度ぐらいで沸点に達します。常温では固形であり、ペースメーカーの中に完全密封されていますので安心ですが、温度が上昇すると体積が急膨張し、リチウムを密封している容器が破裂します。
火葬場のかまの温度は1400度ぐらいになり容器が破裂します。実際にペースメーカーが破裂してかまが壊れたという報告もあります。
以前は破裂でいろいろあったようですが、現在はペースメーカーを入れているという事を葬儀屋さん、あるいは火葬の担当者に言いさえすれば、ある程度温度をダウンさせたりしますので、大きな破裂ということはありません。

火葬に当たって、どうすればよいのでしょうか。

ペースメーカーはなるべく火葬前に取り出すことをお願いしております。できれば当初の病院で摘出していただき、自宅等ではペースメーカー等の主治医以外での摘出はしないで、葬儀社、火葬場の担当者にペースメーカー等を入れていることを告げてもらう、ということを原則とする、としています。

火葬に対する学会の考え方(対応)は?

1989年に日本心臓ペーシング・電気生理学会(現在の日本不整脈心電学会)の社会問題小委員会報告によって事故防止の方法が挙げられています。

  1. 主治医により火葬時に破裂することを家族に説明する。
  2. 心臓ペースメーカー摘出は強制しない。摘出できる場合は摘出する。
  3. 葬儀の際、家族から葬儀係員に心臓ペースメーカーが植込まれていることを申告し、葬儀係員から火葬場係員に申告する。
  4. 火葬場では、破裂音が収まるまで(30分以内)窓の開閉は行わな
ペースメーカー装着者の火葬場受け入れ拒否はないのでしょうか。

火葬場受け入れについて、東京ではほとんど問題はなくなっていますが、四国・九州などで多少トラブルがあったようです。
日本不整脈心電学会の社会問題対策委員会では次のように記述しています。「2012年に全国の火葬場(1539火葬場)を対象に調査され、42.5%から回答が得られました。回答数が半分ですので、問題はあるでしょうが、11%の火葬場において遺体からの植込み型心臓デバイス摘出を火葬の条件としていたこと、また火葬場の対応には地域差が非常に大きいことが明らかとなりました。」

死後や火葬の前にペースメーカーを取り出す場合は、解剖しなければならないのでしょうか。

死後、ペースメーカーを取り出すのは解剖には該当しません。解剖というのは、亡くなった場合に身体の中のいろいろな臓器を調べることです。ペースメーカーの場合は、ペースメーカーを取り出すだけです。もちろんご遺族の同意が必要です。

Q&Aは今後も追加をしていきます。どうぞお楽しみに。