ペースメーカー関連Q&A

「日頃の悩みや疑問にわかりやすく答えるQ&A 50周年版」記念誌から
気になるQ&Aをご紹介

友の会創立50周年を迎えて発行された、777個のQ&Aをまとめた冊子「日頃の悩みや疑問にわかりやすく答えるQ&A 50周年版」から、気になるQ&Aをピックアップして公開します。
会員専用ページでは冊子を丸ごと公開しています。ぜひごご覧ください。

なお、777個の目次は下記から確認できます。

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掲載している回答は掲載時の情報です。最新の情報は関係省庁、各メーカーのウェブサイトをご参照ください。

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風呂・冷水(Q&A冊子 P.37)
風呂に長く入ると横になりたくなります。ペースメーカーと関係ありますか?

ペースメーカーを入れているからといって、入浴時間が制限されることはありません。不調とペースメーカーとの関連は考えにくいと思います。

入浴の場合、入浴時間はどのくらいが適当でしょうか。

脱衣所、風呂場、浴槽の中は、とくに寒い冬では温度の差が大きいので、正常の人でも血圧や心拍数の変化が起きます。心臓に負担をかけないためには、あまり熱い湯でなく(42℃まで)、浴槽につかる時間もせいぜい10分ぐらいにした方がよいと思います。

温泉に行き、熱い湯に入ったらフラフラになり吐き気、目眩がしました。熱い湯はいけませんか?

ペースメーカーを入れていてもそうでなくても、一般的に熱い湯は避けた方が良いでしょう。

サウナ風呂に入っても大丈夫でしょうか。

サウナ風呂自体がペースメーカーに影響を与えることはありません。しかし、ペースメーカーの装着とは関係なく、サウナは心臓に負担をかけると言われています。
身体に含まれている水分の量は加齢とともに低下してきます。咽が渇いたなどの感じ方が加齢により鈍くなりますのでご注意ください。咽が渇いていなくても、水分を少しずつ、繰り返し補給するようにしてください。

遠赤外線を出す岩盤浴がありますが、大丈夫でしょうか。

岩盤浴は石を温めるだけですし、特に何か中に使われていることはないので問題ないと思います。

電気風呂に入ってもよいでしょうか。体にピリッと来ます。

止めてください。ペースメーカーに影響が出ます。それに、電気風呂は一般に効能の認められているものではありません。

発泡風呂に入ってもよいでしょうか。

泡自体は問題ありません。ただ、泡発生のための超音波を作る高周波の器械が、例えば100Wとかかなり強力なものであるとすれば、ペースメーカーに障害が起こるかも知れません。

温泉の砂場に行くと「ペースメーカーの人は止めてください」と言われました。その砂に入っている成分がペースメーカーに害を与えるということです。

その砂が電気を通したり磁石が入っていたりするのなら別ですが、そうでなければ大丈夫です。

1週間に1〜2回心臓が苦しくなり、冷水で冷やしていますが、大丈夫でしょうか。

狭心症、心筋梗塞など心臓病の人は冷やすと皮膚血管が縮小するので、かえって悪くなる可能性が多いものです。1週間に1〜2回も苦しくなるということは、狭心症の疑いがありますので、検査を受けられることをお勧めします。

家庭の機器|携帯電話、無線(Q&A冊子 P.52)
Bluetooth(ブルートゥース)で通信する機器を使っても大丈夫でしょうか。

Bluetooth(ブルートゥース)は電波を使っていますが、携帯電話よりもさらに影響が少ない微弱電波です。
無線LANも含めてペースメーカーへの影響は出ておりません。

満員電車の中で携帯電話はどうしたらいいですか?

当初は影響を及ぼす事もありましたが、今はその器械は使われていません。全く大丈夫です。

携帯電話もペースメーカーも、両者とも機種が変わり影響が受けにくくなっています。

携帯電話は影響があると言われていましたが、現在は大丈夫でしょうか。

現在は15cm離せば問題ないと言われています。これは海外の状況まで考えた距離で、日本ではそれほどは心配いりません。

携帯電話の安全性は確認されていますが、スマホも同じですか?

スマホ(スマートフォン)は機器としては普通の携帯電話とまったく同じと考えていいです。現在は以前と違ってペースメーカーを含めて電子機器全体により影響が少ない機種だけになりました。離す距離は15cm以上ということになっていますが、ほとんど影響はありません。

スマホのプラチナバンドの電波は影響はあるのでしょうか。

総務省のガイドラインではプラチナバンドでも他の周波数でも区別しないで15cm離すように、としています。15cmといっても実際にはもっと近づいても影響はないはずです。

スマホの近くにいて症状が出た気がするのですが。

実際に、スマホの影響で不具合が起こったり健康に被害があったという報告はほとんどありません。
医者の立場からすると、患者さんの安全を守るということと、不安を取り除くということがあります。実際に症状が出たりするときには、その機器の影響と言うより患者さんの不整脈の問題だったり、一人一人の心臓の機能の状態に左右される部分も多いのではないかと思います。

コードレス電話はペースメーカーに影響を与えますか。

コードレス電話は、携帯電話と比べると出力も小さく影響は受けにくくなっています。
心配でしたら、携帯電話端末と同様の対応をすればよいでしょう。

無線LANを使っていますが、ペースメーカーに影響しないでしょうか。

スマートフォンの中には2種類の電波が使われていて、1つは携帯電話の電波、もう1つはWi-Fi(ワイファイ)、無線LANです。無線LANは携帯電話よりもさらに電波が弱いです。ペースメーカーに影響が出るという事は全くありません。
携帯電話に関しては、過去にはある程度影響があって、気を付けなければいけなかったのですが、最近ではほとんど影響がありません。

「電波の医療機器等への影響の調査研究」に関しては、下記のお知らせをご覧ください。
電波の医療機器等への影響の調査研究が公開されました(2024/1/15)

自己管理 (Q&A冊子 P.32)
ペースメーカー植込み患者が常に心掛けなければいけないことは、どのようなことでしょうか。(ペースメーカーに直接関係することで)
  • 毎日1回時間を決めて、安静状態の脈拍数を数え、記録するような習慣をつけるとよいでしょう。また、医師の指示通りに定期検診を受けて、ペースメーカーの作動状況やペースメーカーと心臓との関係を確認しておく必要があります。
  • 体の外からの電気や磁力の影響がペースメーカーに働くことがありますので、大きな磁力や発電機などの近くでは注意が必要です。電気洗濯機や冷蔵庫等はアースをしておきますと安心です。
  • 携帯電話を使用するときは、ペースメーカー本体から15cm離せば安心です。
ペースメーカー植込み患者が常に心掛けなければいけないことは、どのようなことでしょか。(ペースメーカー以外で)
  • 糖尿病、高血圧あるいは腎臓病など他に悪いところのある人は、そのことにも注意することが大切です。
  • 呼吸のはずみ方がひどいときは無理がかかっているときですので運動は控えて安静にしましょう。
看護師に「脈を測りなさい」と言われたので、きちんと測ってますと先生に伝えたところ「測らなくていい」と言われました。

ペースメーカーを入れた人は毎日脈を測って記録する。とても大事なことです。あなたが正しい。

5年前冠動脈にステントを入れ、急性心筋梗塞、鬱血性心不全、洞不全症候群、発作性心房細動、通常型心房粗動で、アブレーション手術とペースメーカー植込みとなりました。
ペースメーカーが正しく作動しているか否かを自宅で見分ける方法はありますか。

難しいですが、目安としては脈が設定レートより少なくならなければまず大丈夫と思っていいです。レートの設定以下の脈が続けば要注意です。一時的に期外収縮が出て少し減ることはあり得るのですが、長く続く場合は心配と考えます。
脈は毎日1〜2回、1分間測定して数えるようにしてください。

毎日、脈を測るように言われましたが、脈拍数を測る場所を教えてください。

自分で脈の分かる場所、例えば手首、首等です。習慣づけることが必要です。

脈拍数の測り方を教えてください。心臓の鼓動の音から脈拍数を測れますか。

脈は首や手首の一番測定しやすいところで1分間に何回拍動があるかを測ります。心臓の音は自分では聴診器を使わないと無理です。

血圧を測るときに、脈拍も出てきて、69とか70になってます。自分でも測るべきですか。

血圧計で脈拍が出てくれば、それでいいです。

血圧計で測る時に、ハートマークが出てきます。これは不整脈ですか。

ハートマーク点灯は、一般的には心臓が打ったということ。説明書を読めば書いてあるはずです。説明書を読むことは重要です。なお、ペースメーカーを入れても不整脈がゼロになる、というわけではありません。

植込みをしている側を下にして横になっても大丈夫でしょうか。
植込んだ側を下にして寝ると、ペースメーカーを圧迫するので不安です。良いのでしょうか。
  • 「同じ体位をとると、決まってドキンとする」というようなことがなければ、気にすることはありません。
  • ペースメーカーは動かないように固定されていますが、固定されているところを含めて組織全体が動くようになってきます。しかし、気にしなくても大丈夫です。
事故などで胸部に衝撃を受けた場合、リード線がペースメーカーから外れる可能性はありますか。

ペースメーカーから外れてしまうような衝撃ならば他に重大な身体的損傷を被っていることが考えられます。植込み時にはしっかりとねじ止めしますので、外れることは極めてまれであると思います。万一外れた場合は、病院で早急に対処してもらうことが必要です。

狭心症や心筋梗塞に対する予防を教えてください。

狭心症や心筋梗塞の予防には次の5項目が必要です。

  1. 食事は動物質のものを避け、植物蛋白(豆腐)や野菜を多くとるようにする。
  2. 太りすぎないように工夫をする。
  3. ストレスや心配事は、血管を狭くしたり血圧にも悪影響を与えます。
  4. 運動不足にならないようにする。
  5. 禁煙する。タバコの中に含まれるニコチンは9割が血液の中に入り、血管を狭くする働きをします。
ペースメーカー手帳は常に持ち歩いていなければいけませんか。
  • 義務ではありませんが、なにかのときに大変役に立ちます。例えば、救急車で他の病院に運ばれたときなどです。できれば常時持っていた方がよいでしょう。
  • 何かの病気があり症状があって病院に来られた患者さんにペースメーカーが入っている時は、手帳を見せていただくと助かることがあります。ペースメーカーの不具合のために何かが起きているのかということを否定する、あるいはMRIなどの検査を行えるかどうかの判断のために、手帳の情報が必要になります。
ペースメーカー手帳をなくしました。再発行の方法を教えてください。

主治医の先生に言えば、病院で再発行される場合と、当該の機器メーカーに連絡し、発行される場合とがあります。主治医にご相談ください。

機器・装置の影響と防御 (Q&A冊子 P.47)
家庭用電気製品で心配なものはなんでしょうか。

電気製品を使う場合、次のものは使用を避けてください。

  1. 強力な電磁波を出す
    例:電磁調理器、大型テレビの電源を入れた瞬間
    ペースメーカーは電磁波に対して強くなっていますが、それでも影響の出るものがあります。電磁調理器や防犯用の電磁波は少し離れれば大丈夫です。
  2. 磁気
    例:全自動麻雀卓
    大きな磁力を発生する発電機やMRI装置などはペースメーカーに大きな影響を与えますので注意してください。
  3. 体に電気を流す
    例:肩に電極を貼ってピクピク筋肉を動かすようなもの
植込み部位から何cm離せとか言われますが、植込み部位の定義が分かりません。
一般的にはペースメーカー本体との距離と説明されていますが、電波の入る経路はリード線と、ペースメーカー本体のテレメトリーコイルからの2つがあると思いますが。

電磁障害の評価は、実際にはペースメーカー本体とリード線をつないだシステムとしてなされています。ただ、実際のリード線の走行に関しては、装着状況によって皆様それぞれ違っておりますので、測定の起点として明確なペースメーカー本体を基準とした指針というものが示されています。

漏電のある装置はいけない、ということですが、自分の家には漏電盤がないので防ぐことはできないのですか。

漏電配電盤は、漏電が増えたと教えてくれるもので、防ぐものではありません。

音の雑音はどうでしょうか。

音の雑音で誤動作することはありません。

使っても問題ない電化製品は?

リモコン、ビデオ、テレビ、ラジオ、ステレオ、電気こたつ、電気毛布、電気敷布、電気カーペット、電気ストーブ、ヘアドライヤー、電気カミソリ(モーター式)、ミキサー、ホットプレート、補聴器、腕時計、各種カード、自動車、コピー機、ファックス機、計算機、コンピューター、電気ドリル(小型)

すぐ近くでの使用で誤動作の起こる可能性のあるものは?

マグネット寝具、電磁調理器、IH炊飯器、電動歯ブラシ、電気カミソリ(電磁石式)、体脂肪測定装置、磁気治療器、電動工具、防犯装置、エンジンの始動装置

使用は避けた方がよい、または避けるべきものは?

溶接機、自動車のエンジン部分、電動麻雀台、電気風呂、草刈り機などのエンジン

歯医者で古い機械で治療を受けたらめまいで具合が悪くなり、すぐ使用を止めてくれました。
他の機器・場所(雀荘・調理器)でも、めまいがしたらそこから逃げればいいですか。

原則として具合が悪くなりそうな場所には行かないことです。近づいてしまい具合が悪くなったらすぐそこから離れること、使用を止めてもらうこと、そういう対処の仕方でよろしいと思います。

電磁波防護服というものがありますが、これを着用すれば電磁波に対して安心ですか。

電波には波長があり、その波長よりも狭いところは電波は通り抜けられません。電子レンジのガラスの後ろに小さなパンチ穴がありますが、電子レンジの波長はあの孔より大きいので電波が漏れないのです。
すべてがこのようなもので覆われていれば電磁波は相当防御できます。しかし、首とか袖のところは覆われず、電磁波は回り込んで入る可能性があります。どのような場合で有効か無効かがはっきり調べられて説明してあるもの以外は使わない方が無難です。
金属でコーティングした繊維で織ったシャツとかもありますが、洗濯すると効果が無くなったりします。そこも注意が必要です。
一般的には近づかない、異常を感じたら離れるという対応をしてください。また、何から守るかにもよります。「仕事」では防御服着用を考えるでしょうが、効果のデータをしっかり把握する必要があります。

MGエプロン(電磁波防護エプロン)を付ければ、電磁波の影響は避けられますか。

磁気はわりと遮断できますが、電波はかなり厳密に囲わないと入り込みます。エプロンを付けてもそれだけで(完全に)防げるとは思えません。

電磁波防護用ジャケット(ベスト)の効果はどうですか。

ベストは袖だとかに大きな穴が開いていますので、電波が簡単に入り込んできます。だから、防護できません。ある程度電波を遮断できたとしても限りがあります。

電磁波の影響について、予感や予兆があれば防ぐことができるのですが。

電磁干渉を受けたかなという一番の手掛かりは心拍数の乱れですが、これも千差万別です。自覚症状もさまざま。いつもと違うなと感じたら離れることに尽きます。

電磁波防御ペンダントとか、何か模様が描かれているカードとかがありますが、電磁波の影響を防げるのですか。

すべて無意味です。惑わされないでください。

電化製品でアースが必要なものがある、とのことですが、アースが付いていない製品があります。

冷蔵庫を買うと昔は緑色の線が付いていましたが、今のはありません。アースは必要ない、というわけではありません。電磁干渉を気にしなければいけないペースメーカーの患者さんの家は接続しておいた方がいいです。水を扱う洗濯機の場合はアース線が付属しているはずです。

乗り物の影響 (Q&A冊子 P.40)
電気自動車、ハイブリッドカーは乗っていいですか。

運転、乗車自体は問題ありません。
(日産のホームページ:電気自動車の車室内外での影響はありません。電磁波レベルは極めて小さく、一般車やハイブリッド車と同等です。公共交通機関である在来線電車、新幹線、飛行機と比べても、同等以下の電磁波レベルであり、心臓ペースメーカーに与える影響は低いです。)

電動自転車はペースメーカーに影響ないでしょうか。

電動(アシスト)自転車の取扱説明書には何も書かれていなかったり、「影響については医師と相談してください」と書かれていたりします。バッテリーやモーター部分に体を近づけなければ大丈夫です。ペースメーカーの会社のパンフレットに、一般的に影響の少ないものの例として「電車、自家用車、電動式自転車」と書かれているものもあります。ただし、「ペースメーカー装着者は使用禁止」と明記されている機種には乗らない方が無難です。

電気自動車の急速充電器はペースメーカーに影響を与える、ということですが。

電気自動車(プラグインハイブリッド車を含む)の充電器から発振される電磁波が、ペースメーカーに一時的な影響を及ぼす可能性があります。影響の出やすい条件で試験した結果、急速充電器で53cm、普通充電器で12.5cmで影響が出たペースメーカーがあったという報告があります。

電気自動車の急速充電器についての注意事項を教えてください。

急速充電器には近づかない(1m以上離れる)、普通充電器は充電中は充電スタンドや充電ケーブルに密着するような姿勢はとらないことが必要です。不整脈デバイス工業会では次のように言っています。

  • 電気自動車の急速充電器は使用しないでください。
  • 急速充電器を設置している場所には、可能な限り近づかないでください。なお不用意に近づいた場合には、立ち止まらず速やかに離れてください。
  • 電気自動車の普通充電器を使用する場合、充電中は充電スタンドや充電ケーブルに密着するような姿勢はとらないでください。
火葬 (Q&A冊子 P.44)
火葬場でペースメーカーは爆発するのですか。

火薬は急激な化学反応で爆発しますが、ペースメーカーの場合は中の気体の圧力で容器が風船のように壊れますので、爆発ではなく、破裂、ということになります。

ペースメーカー装着者が死亡して火葬にするとペースメーカーが破裂すると言われておりますが本当でしょうか。

現在のペースメーカーは、全部リチウム電池が使用されています。リチウムは1300度ぐらいで沸点に達します。常温では固形であり、ペースメーカーの中に完全密封されていますので安心ですが、温度が上昇すると体積が急膨張し、リチウムを密封している容器が破裂します。
火葬場のかまの温度は1400度ぐらいになり容器が破裂します。実際にペースメーカーが破裂してかまが壊れたという報告もあります。
以前は破裂でいろいろあったようですが、現在はペースメーカーを入れているという事を葬儀屋さん、あるいは火葬の担当者に言いさえすれば、ある程度温度をダウンさせたりしますので、大きな破裂ということはありません。

火葬に当たって、どうすればよいのでしょうか。

ペースメーカーはなるべく火葬前に取り出すことをお願いしております。できれば当初の病院で摘出していただき、自宅等ではペースメーカー等の主治医以外での摘出はしないで、葬儀社、火葬場の担当者にペースメーカー等を入れていることを告げてもらう、ということを原則とする、としています。

火葬に対する学会の考え方(対応)は?

1989年に日本心臓ペーシング・電気生理学会(現在の日本不整脈心電学会)の社会問題小委員会報告によって事故防止の方法が挙げられています。

  1. 主治医により火葬時に破裂することを家族に説明する。
  2. 心臓ペースメーカー摘出は強制しない。摘出できる場合は摘出する。
  3. 葬儀の際、家族から葬儀係員に心臓ペースメーカーが植込まれていることを申告し、葬儀係員から火葬場係員に申告する。
  4. 火葬場では、破裂音が収まるまで(30分以内)窓の開閉は行わない。
ペースメーカー装着者の火葬場受け入れ拒否はないのでしょうか。

火葬場受け入れについて、東京ではほとんど問題はなくなっていますが、四国・九州などで多少トラブルがあったようです。
日本不整脈心電学会の社会問題対策委員会では次のように記述しています。「2012年に全国の火葬場(1539火葬場)を対象に調査され、42.5%から回答が得られました。回答数が半分ですので、問題はあるでしょうが、11%の火葬場において遺体からの植込み型心臓デバイス摘出を火葬の条件としていたこと、また火葬場の対応には地域差が非常に大きいことが明らかとなりました。」

死後や火葬の前にペースメーカーを取り出す場合は、解剖しなければならないのでしょうか。

死後、ペースメーカーを取り出すのは解剖には該当しません。解剖というのは、亡くなった場合に身体の中のいろいろな臓器を調べることです。ペースメーカーの場合は、ペースメーカーを取り出すだけです。もちろんご遺族の同意が必要です。

Q&Aは今後も追加をしていきます。どうぞお楽しみに。