新型コロナが流行した3年間の生活様式とその後の変遷について
日本血管内治療学会 名誉理事長 岡田 昌義
2020年3月から、新型コロナウイルスの感染者が増加し始めて、衝撃的なニュースが流れ、4月7日、安倍晋三首相は、はじめて緊急事態宣言を発したのである。また、市民に外出自粛を、飲食店に営業自粛を求めた。感染者数を抑えた代償に経済は低迷し、困窮する人々が続出した。
2020年9月、菅義偉政権は、感染対策と経済活動との両立を重視した。感染者数が増加しても、観光支援策「Go to トラベル」をできるだけ続行した。
第5波では、感染力の強いデルタ株が流行し、重症患者が増加した。これにより、患者の救急搬送先が見つからない状態になった。さらに、感染力が高いオミクロン株が現れると、流行の波は当初と比べて高く上昇した。
2022年の夏には26万人、2023年の初めには1日当たり、逆に死者数が500人を超えるようになった。しかし、このような中で、8割の人がワクチンの2回接種を終えて、この死亡率は減少し、80歳以上の感染者の死亡率は、2021年7~10月の7.92%から、2022年7~8月には1.69%へと減少した。このような状態になり、政府は2023年5月8日に、感染症法の位置づけを季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げることにした。ただ、ウイルスの性質が変わったわけではなく、医療の切迫が起きないとういう保証はみられない。5類への移行後、感染者の公表も変わり、これまでは毎日報告があったすべての感染者数の公表、全数を把握するものであったが、今後は全国約5,000の医療機関から情報を集めて、週1回公表することで流行を把握するという定点把握することになる。
これまで新型コロナの検査と陽性判明後の診察は無料であった。5類への移行後は、患者の負担が急に増えないように政府は公費による支援を段階的に減少していき、外来では、飲み薬などの薬代への支援が9月迄続くが、それ以外の医療費は通常の医療と同様になる。このように変化するようである。